血がつながっていないぶん、夫婦関係は子どもとの関係よりシビアなのかもしれません(写真提供:photo AC)
『課長島耕作』シリーズや『黄昏流星群』などの作品で知られる漫画家・弘兼憲史さん。現在70代の弘兼さんは「60歳を過ぎたら持ち物や人間関係を整理し、より身軽に人生を楽しもう」とその著書を通じて提案しています。その意味で「男性なら特に定年後、奥さんとのコミュニケーションについてはよく考えなければならない」とのことで――。

定年後、旦那と一緒にいる理由がなくなっていく

今回は夫婦関係について考えてみましょう。僕は男ですから、話の中心は基本的に、奥さんとのつき合い方になります。

そしてここからのお話は、「仲睦まじくやっていて、夫婦関係には何も問題がない」という人にはあまり関係のない話になります。あくまでも夫婦の関係に悩んでいる人への提案として読んでみてください。

血がつながっていないぶん、夫婦関係は子どもとの関係よりシビアになります。特にお互いに年を取り、子どもが独立すればなおさらのことです。

昔から「子はかすがい」と言いますが、そのかすがいがなくなってしまえば、夫婦関係は以前にも増して、もろくなります。

なぜなら、子どもが独立すると、奥さんのほうに旦那と一緒にいる理由がなくなるからです。

例えば、あなたが定年退職した後のことを考えてみましょう。

定年退職するまでの旦那には、かろうじて「給料を運んでくる」という役割がありました。ところが定年後はそれがなくなります。何らかの形で働くことにはなるでしょうが、多くの場合、その給料は定年前よりも減るはずです。

もし、それが奥さんでも稼げるような金額だったとしたら……? それでも奥さんはあなたと一緒にいたいと思ってくれるでしょうか。