奥さんに嫌われないための2つの心構え
奥さんから自立し、嫌われないために、あなたが心がけることは2つあります。
それは、「奥さんとなるべく一緒にいないこと」、「お互いの距離を保つこと」。
距離が近づき過ぎると事故が起きる確率が高まるのは、人間もクルマも同じなのです。
60歳にもなれば、子どもはすでに独立し、夫婦2人だけで暮らしている、というケースが多いと思います。
2人きりになると、今まで目に入ってこなかったお互いの存在が自然と視界に入ってくることになります。
すると、今までは気にならなかった短所やアラなどのマイナス面が急に目立ち始めたりします。
しかも、年を取ると互いに頑固になっていますから、ケンカになっても譲ゆずりません。そして、取り返しのつかない状況になってしまう。「もう2人だけなのだから、これからは一緒にいる時間を増やそう」なんて発想は、奥さんにとってはいい迷惑ですから、早いこと捨てることをおすすめします。
奥さんとの距離を保つには、奥さんのテリトリーに侵入しないことが大事です。奥さんの行動にも干渉しないこと。
例えば、奥さんが出かけると知ると、「どこへ行くんだ?」「誰と行くんだ?」「何時に帰るんだ?」などと尋問を始め、その挙句に「なるべく早く帰ってこいよ」などと命令口調で言う人もいますが、奥さんからすれば余計なお世話でしかありません。
奥さんの身を案じて言うのであればまだしも、こんなことを言う人はたいてい「ひとりだと寂しい」とか、「自分で食事やお風呂を用意するのが面倒」なんてことが理由ですから、煙たがられるわけです。
奥さんにも今までの人生で築いてきた人間関係があるのですから、そこへ無神経にズケズケと口を出して侵入してはいけません。
これは逆の立場を想像してみれば、すぐにわかるはずです。あなたが友人と楽しく飲んでいる場に奥さんがやってきたらどうでしょう? 奥さんが気になっていつものバカ話やエロ話もできなくなってしまいませんか。
お互いのテリトリーを尊重することは、夫婦関係を壊さないために、重要なことなのです。
※本稿は、『増補版-弘兼流 60歳からの手ぶら人生』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
『増補版-弘兼流 60歳からの手ぶら人生』(著:
弘兼憲史/中央公論新社)
定年後は持ち物や人間関係を整理し、身軽に人生を楽しもう!『課長島耕作』などで知られる漫画家が60歳からの理想の生き方をつづったベストセラーの増補版。「常識」という棚にしまったすべてのものを一度おろして、ひとつひとつ吟味してみませんか。そうすれば、きっとこれからの人生に必要なものと必要でないものが見えてくるはずです(はじめにより)。