感情を左右する「心の三原色」

では、情報の伝達とやる気の低下には、どのような関係があるのでしょうか。

脳の情報とは、言い換えれば「刺激」です。脳が刺激されると、神経細胞間のわずかな隙間(シナプス)でさまざまな神経伝達物質が分泌され、情報が各所に伝わり、考えたり判断したりという行動に移ります。しかし、刺激(情報)が入ってこなければ神経細胞が先細り、情報伝達に不具合が起こる。これがやる気の低下につながります。

神経伝達物質の数は100を超えると言われていますが、メンタルヘルスに深く関わる代表的な神経伝達物質(脳内ホルモン)は、「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「セロトニン」の3つです。「心の三原色」と呼ばれ、私たちの感情を左右しています。

なかでも重要なのが、ドーパミン。別名「やる気ホルモン」とも言われ、褒められて嬉しいときや、何かを達成したときなどに分泌され、快感をもたらしてくれます。ドーパミンが出ると、さらに意欲や好奇心が湧き上がり、「やってみたい!」と相乗効果が起こる。これがドーパミンの作用です。

ノルアドレナリンは「怒りのホルモン」と言われるものですが、メンタルヘルスには不可欠。ストレスと闘うときに必須で、不足すると気力・意欲が減退します。過剰に分泌されると些細なことでイライラしたり、怒りやすくなったり、悲しくなるなど、感情の制御が困難になるものの、適度に分泌されていればほどよい緊張感が生まれストレス耐性も強くなるのです。何かに集中しているときにも分泌されます。

セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれるもの。幸福感をもたらす作用があり、夜になるとメラトニンという睡眠を促進するホルモンに変わります。