「言葉ケチ」は不幸ぐせ

一口にアピールと言っても、いろいろあります。「私、こんなに頑張っています!」と自己主張するのもアピール。とはいえ、いくら仕事ができても、当人に「頑張っている」と強調されたら、周りは鬱陶しく感じてしまいます。

そういう意味で、Aの選択はあざとく見えないように「黙ってアピール」なのかもしれません。ただ残念ながら、自分の狙い通りに周囲が察してくれるほど、世の中は甘くない。「黙ってアピール」になるどころか「あの人、何を考えているかわからないよね」と言われる場合もあるでしょう。

大げさなように聞こえるかもしれませんが、「会話をしないのは愚の骨頂」。そう思ったほうが賢明です。コミュニケーション不足は「言葉ケチ」とも言えるのです。

とくにお礼や褒め言葉をケチケチするのは不幸ぐせの典型。その場が和んだり、相手が喜んでくれそうだと思ったりする場面では、惜しみなく言葉に出して伝えるのが幸せぐせを身につける第一歩です。

目指すのは、しっかり仕事をするだけではなく、「うちの職場にはこの人が必要」と周囲に思わせること。アピールとは自分を主張するのではなく、自分の存在感を刷り込むことだと心得ましょう。言い換えるなら、言葉でのオーラマーキング。それが正しいアピール方法だと認識し、今日から5割増しのお礼と褒め言葉を心がけてみてください。

「ずっとそんなことをしていたら疲れちゃう」というあなた。プライベートまで5割増しにする必要はありません。職場だけと割り切り、幸せぐせのエクササイズのつもりでやればいいのです。もちろん、家庭や友人との間でも試してみる価値は十分。家族や友人に対して言葉ケチをやめたら、あなたの存在感を今よりもっとアピールできるでしょう。

前回「お金の使い方は水の流れと同じ。せき止めれば淀む、濁流もNG。冠婚葬祭だけは出し渋らない」はこちら

【関連記事】
【第1回】江原啓之「人生は回転寿司。後ろを向かない、根に持たない、素直、笑顔…幸せな人には理由がある」
【第2回】江原啓之「待ち合わせにいつも遅れてくる友人。あなたは注意する?我慢する? どちらが〈不幸ぐせ〉でしょうか」
うつ病退職後に借金を重ねる息子。コスプレに夢中で部屋が〈ゴミ屋敷〉状態の娘。いつまでも家から出ていかない子どもの将来が心配