「大阪から東京へ出るときは、会社に反対されました。」(イメージ/写真提供:photo AC)

地方タレントになりたくて吉本に来る芸人は一人もいない

大阪から東京へ出るときは、会社に反対されました。テレビに出たわけでもないソラシドが、いきなり東京に行ってどうするんだ? 大阪なら劇場の仕事があるからいいじゃないか、というわけです。

当時、相方の水口は「行かせてくれなかったら吉本をやめてでも行く」というのをほうぼうで先輩に言ったらしく、それが大阪吉本の社員の耳にも届いてしまっていました。最後の切り札がバレてる。

社員の中には「ソラシド、どうせやめんねやろ」と言う人もいて、自分らでやりたいようにやるんだから勝手にしろ、と駄々っ子みたいな扱いになってしまいました。

ですから、今回も僕は、水口の口の軽さを信用していませんでした。つまり、「僕は行きたくないと思っている」状態にして、水口が「本坊が嫌がってるんです」とアチコチで言っている方が、会社からお願いされる形にできると思ったのです。

「山形に空きができたから」がいつのまにか「ソラシドが行きたいんやったら」に変わっている吉本。僕は、会社に「行かせてもらう」ではなく「行ってあげる」という形をとりたかったのです。

地方タレントになりたくて吉本に来た芸人なんか一人もいません。でも、芸人を続けられるならと、藁(わら)にもすがる思いで決めていることを吉本にはわかってほしかった。