今やってることを知ってもらわなあかん
山形行きを決めてから東京を離れるまでの四か月間、バイトが生活のためではなく、引っ越しと車を買うために変わりました。地方は車がないと生活できないと社員さんから教えてもらったのです。
厳しかった大工の先輩にも、「寂しくなるなあ」 と言ってもらえて嬉しかった。
「いいタイミングでやめるね、本坊君」とも言われました。再来年に東京五輪をひかえていたため、翌年からイベント会場が選手村や競技会場として押さえられるので、展示関係の大工業界の仕事が減ると言われていたのです。親方も快く送り出してくれました。山形に行ったら建築系の仕事は吉本の仕事でも一切しないぞと決めました。
以前、フットボールアワーの後藤さんに言われた言葉を思い出します。
「芸人をやり続ける上で過去に戻るのが一番やったらあかん。どんどん更新していかな。今やってることを知ってもらわなあかん」
僕が今死んだら何と言おう。
お笑いコンビ ソラシド
アルバイトをしながら芸人活動を行い、アルバイト経験をまとめた本を出版
2018年 没
バイトの印象しかない。消すぞ、これを。大工道具も全部捨ててやるぞ。後藤さんに決意を告げると、
「わかるけど、バイトしてたのも本坊やからな。山形の人がお前のこと調べて、大工経験者って知って、そういうイベントかなんかやってくれるんやったら、それはありがたくやったらええ。更新はしても、過去の自分を否定することはない」
僕は更新にはやる気持ちを抑え、大工道具は一応持って行くことにしました。