自分がなんもやってないだけなのに
芸人とは、そもそも吉本興業にとって「社員」という雇用関係ではなく、「取引先」の関係です。僕が売れなくても違う芸人が稼いでくれれば、それでいいのです。
そういう世界なんですが、このときはまだ会社に対して甘えのような、守ってもらって当然という気持ちがありました。
自分がなんもやってないだけなのに、「会社がなんもやってくれてへん」と言う。これがすべてのちぐはぐの元凶。
相手の見返りありきで行動するのは、何やったってすべてがクソです。相手の出方次第で表裏入れ替わるような打算的な考えだと、何か起きたときに、すべて人のせいにしてしまいます。
このときの僕は、それがまだわかっていませんでした。会社にも不信感を持っていました。すごくいい話だと言いながら、具体的な話になるとどこか自信なさげに見える。このときは上京して半年だったので、もうソラシドに東京は無理と判断されたことに腹を立て、東京で頑張りたかったので断りました。
今考えると会社の判断は正しかったわけです。