『脱・東京芸人 都会を捨てて見えてきたもの』(著:本坊元児・大和書房) 

芸人よりも友達として反対した川島

ある日、笑い飯の西田さんと飲んでいると、

「本坊、住みます芸人の話、まだ決めてないらしいな。こんだけ引っ張るということは行きたくないんやろ?」と言われました。

ちゃんと伝わってるじゃないか、水口、いいぞ。機は熟した。

「実は行こうと思ってるんです」

西田さんは、

「お! そうなんか。家のことは気にせんでええからな」

と顔が晴れました。やっぱりバイト漬けの東京より山形の方がいいって、みんな思ってるんだ!

山形では前任の住みます芸人の笑助さんからレギュラー番組を4本引き継げるということで、会社にも山形行きを告げました。みんな「ええがな」と言ってくれました。

唯一、反対したのは麒麟の川島でした。

「本坊みたいな芸人が東京におってもええ。本坊は東京におった方がええ」

川島はそう言ってくれました。確かに地獄のエピソードを年イチ話す芸人もいていいと思う。ソラシド本坊はおってもいいけど、俺がそのソラシド本坊なのが嫌やねん、川島。

川島は僕のことを芸人よりも友達として反対したんじゃないかと思う。僕が大工しようが、芸人じゃなかろうが、多分川島は変わらない。芸人をやめても川島は、

「本坊ー!」

と言うてくるに違いない。それはしんどいぞ、川島。売れないとわかっているのに馬鹿のフリをし続けるのも限界です。

僕はまた芸人として再開するために、東京を離れることにしました。