癒されし 富士の裾野の ラベンダー(扇百合子)
五七五の間を空けないのが、俳句の正しい表記です。「富士の裾野のラベンダー」で情景はわかりますね。上五「癒されし」は説明。映像を書きましょう。上五に季語ではない五音を入れてみましょう。
紫の絨毯撫でて夏の風(いいちこ)
何かの花が咲き広がっている様子を「絨じゅう毯たん」に喩える句は、たくさんあります。どんな様子なのか、丁寧に描写しましょう。紫の花であるならば、「花」と書かないとわかりにくいですね。
◆添削例:一面の花はむらさき夏の風
ラベンダーの香水春の朝を行く(Q&A)
「ラベンダー」「香水」は夏の季語。「春の朝」は春の季語。さて、どうする?
新緑や誰か落としたアイス踏む(白兎)
この句も季重なりです。どこが季語なのか、調べてみましょう。
夏の山リフトより聞くラベンダー(秋紫)
「富良野のラベンダー畑の上をリフトで越えました。ラベンダーはもう枯れているのですが、香りはまだします。お香の世界は『香りを聞く』と言うようなので、使ってみました」と作者のコメント。「夏の山」と「ラベンダー」の季重なりです。「リフト」まで匂ってくるという経験は、よい俳句のタネです。「夏の山」を捨てて、推敲してみましょう。
「夏井いつきのおウチde俳句くらぶ」第7回「富良野のラベンダー畑」《ハシ坊と学ぼう!》 2021年5月10~19日「写真de俳句の結果発表」より一部抜粋・編集
2021年5月10~19日「写真de俳句の結果発表」より一部抜粋・編集