独裁者である校長の大場麻琴(内田有紀)を筆頭に、個性的な教員たちの人間模様も

どんなことがあろうが、何歳になろうが、やり直せる

平成期の木村の連ドラは見ると元気が出た。例えば2001(平成13)年と2014(平成26)年の『HERO』(フジテレビ)。木村が演じた高校中退の型破り検事・久利生公平がワルを次々と懲らしめ、弱者を助けると、爽快な気分になった。活力が沸いた。

今回もそう。平成期の木村の連ドラとは主人公のキャラも作風も全く異なるものの、見る側に元気を与えてくれる。『未来への10カウント』は「どんなことがあろうが、何歳になろうが、やり直せる」と訴え掛けている。

ドラマ界で久々となる王道の学園モノとしても楽しめるところもいい。近年の学園ドラマは東大合格のテクニックが中心だったり、学園内で教師が生徒を人質にして立てこもったり、特異な作品が目立つが、この連ドラは違う。

校長の大場麻琴(内田有紀)は独裁者。教頭の猫林はじめ(生瀬勝久)は茶坊主だ。さらに非常勤の桐沢に嫌味を言う正教員の間地真実(八嶋智人)たちがいる一方、バランス感覚に優れた正教員の大野倫子(冨田靖子)もいる。教員たちの人間模様も面白い。

生徒たちもきちんと描かれている。東大を目指す部員の伊庭海斗(高橋海人)は桐沢の恋愛指南を受けた上で、マネージャーの西山愛(吉柳咲良)にリング上で告白するが、あっけなく玉砕する。

さらに、家庭環境に問題があることから素直になれない部員の西条桃介(村上虹郎)が暴力事件の濡れ衣を着せられたり、態度がわるいことから爪弾きにされたり。青春だ。

1972(昭和47)年の『飛び出せ!青春』など往年の日本テレビの学園ドラマと共通の匂いがする。大場が学業でライバル高の京明校にボクシングで勝つことを桐沢に命じるところもそう。このところ見なかった作風なので古くて新しい。