桐沢(木村拓哉)に思いを寄せるボクシング部顧問の折原葵(満島ひかり)は、8歳の男の子がいるシングルマザーだ(写真提供◎テレビ朝日 以下すべて)

 

平成期を象徴するスター〈キムタク〉

キムタクこと木村拓哉(49)が主演するテレビ朝日の連続ドラマ『未来への10カウント』(木曜午後9時)は第7話まで放送が済んだ。いよいよクライマックスを迎える。

木村は本人の意図に関わらず、平成期(1989年1月8日~2019年4月30日)を象徴するスターだ。1994(平成6)年の『若者のすべて』(フジテレビ)で連ドラに初主演。以後、2000(平成12)年の『ビューティフルライフ』(TBS)など主演する連ドラが次々と大ヒットしたのはご存じの通りである。

昭和期には時代を背負ったスターが何人もいたが、平成期でそう呼べる存在は木村と2017(平成29)年に引退した安室奈美恵さん(44)くらいだろう。その点、木村は特異な存在であり、ファンはもちろん、そうでない人からも常に注目される。

木村がほかの俳優たちと異なるのはドラマが次々と当たっただけでなく、髪型から服装、口調に至るまで平成期の多くの若者に真似られたところ。こうでないと時代を象徴するスターとは呼べない。

昭和期を背負った故・石原裕次郎さんが兄の故・石原慎太郎さんと共にやっていた慎太郎刈りも流行した。裕次郎さんもまたファンからもそうでない人からも意識される存在だった。

また、平成期の木村が連ドラで演じた役柄には、斜に構えているものの、仕事にも恋にもマジメな青年が多かった。図らずもバブル崩壊後の多くの若者たちの姿と重なり合う。やはり木村は平成期を象徴するのである。

とはいえ令和も4年目。木村自身も49歳になった。いくら求められようが、いつまでも平成期のままではいたくないだろう。それでは昭和期のヒット曲を歌い続ける懐メロ歌手と同じになってしまう。