癖を活かせて、描いていて楽しかった
―書籍『火曜日のくま子さん』には連載分から121話が収録されていますが、高橋さんのお気に入りの話はありますか。
34話ですかね。子ども時代のくま子さんが「量と噛み応え」を基準におやつに順位をつける話です。
私は卑屈だから、すぐ人と自分をくらべてしまうんですよ。すごい人に出会ったら「私はこの人より下だ!」って思ってしまったり。
比較癖やカテゴライズは、本来は良くないことだと思うけど、この34話は「デラウェアは美味しいけど噛み応えがないから最低ランク」とか、自分の癖を活かせて、描いていて楽しかった。
普段つかう画材にも順位やキャラクターをつけて心の中で楽しんでいます。たとえばコピックは便利だから「なんでもやってくれる都合の良い知り合い」みたいに軽い扱いにしてたけど、ここぞという時に頼りになるし、あれっ、よく見ると結構格好いい……! みたいな。
そういえば色んな筆記用具との相性の話も書きましたね(95話)。そういう小さな妄想を作品にするのが好きなんだと思います。