7年の連載の間に社会も私自身も変化した

―最後に、連載が本になった感想をあらためてお聞かせいただけますか。

連載中はとにかく自信がなかったのですが、読んでくれた方が書籍化希望の声を出版社に送ってくれたという話をきいて、有り難かったです。本が出てからも、書店の方がすごく丁寧なPOPをつくってくださったり、嬉しいことが沢山ありました。

こちらも高橋さんのお気に入りという第95話。(マンガ:『火曜日のくま子さん』より)

 

それから、連載中は思っていることをうまく言語化できないまま掲載してしまって、「う~ん、こういう話じゃないんだけどな」と思った話もあったのですが、書籍化する時に大分見直して、けっこう「オチ」を修正しました。

読みかえして、「そうそう、こういう話だよな」と腑に落ちる形でまとめられたのがよかったです。何しろ7年間分の連載なので、連載を続けている間に社会も私自身も変化したということもあると思いますが。

手にとっていただいた方にも、ご自身の7年間のことをふりかえりながら、ちょっとでも共感してもらえたら嬉しいです。


火曜日のくま子さん』(著:高橋和枝/中央公論新社)

あの日の自分が、いとおしくなる。夫もいないし子供もいない。収入もたいしたことない。でも 仕事も好きだし友達もいるしひとりの時間もいい。春がくることが当たり前じゃないと、若い頃よりずっと深く知っている……。40代・独身・在宅ワーカー。くま子さんの7年間。