身も蓋もない言葉に対して私の心には意外な変化が
「あんなにいい奥さんと結婚できて、Aくん(=夫の姓)は幸せよねって、いつも息子と話してるのよ」と夫の同級生のお母様からも言われたし、「Aは、山田さんが奥さんだから仕事で得している部分も大きいのに」と夫の上司に言われたこともありました。私はAより2歳上で、同じ業界で先に仕事をしていたので、Aの就職の際、ずいぶん色々な人を紹介しました。それもあって、周囲の方がそう言ってくださったのかもしれません。
いまから思えば不毛な会話です。でも、こうした言葉にすら、私は縋っていた時期がありました。まだやり直せるのではないかと…。
どうしていいかわからず悩む私に、「年下の友達に弁護士がいるから、一緒にランチでも食べがてら相談してみたら?」と言ってくれたのが前述の女友達でした。その頃は経緯を話し始めれば必ず泣いてしまう有様。その日も涙ながらに実情を訴えた私に対し、若い弁護士は、いとも簡単に「それは仕方がない」と言ったのです。
同席してくれた女友達の顔がたちまちこわばっていくのがわかりました。「貴方、そ、そんな酷いこと、よく言えたわね!!!」
怒りを露わにしたのは私ではなく女友達のほうでした。確かに、身も蓋もない言葉です。しかし、意外にも私の心は「スッキリ」とはいかないまでも、閉め切っていた部屋の小窓を少し開けたような感覚になったのです。
「そうか、私が絶対に別れたくなくても、夫が絶対に別れたいというなら仕方がないのか…」と。