これ以上嫌われたくなくて離婚届に判を押した

そこからも何度も立ち止まりましたし、夫が私の指から結婚指輪を抜き、マンションの7階の窓から外に投げるような修羅場もありました。夫の浮気相手のB子が家まで訪ねてきたことが発覚するなど、ドラマのような出来事が何度も起こって…。でも、その度に私は念仏のように「仕方がない」「仕方がない」と唱え、なんとか前を向けるようになりました。

結果的に、離婚を承諾したことが良かったのかどうかは、正直、今もわかりません。冷戦期間を置けば、相手女性が痺れを切らしたかもしれないし、熱も冷めたのかもしれない。夫も私のことが大切だと思い直してくれたのかもしれません。ですが、弁護士に「仕方がない」と言われた日から、私の聞き分けが劇的によくなったのも確かでした。最後は、「夫にこれ以上、嫌われたくない」という想いが自分の感情の最前列に位置され、私は離婚届に判を押したのです。

(写真提供◎photo AC)

それからすぐに、夫と浮気相手の女性、B子との結婚披露パーティーが青山のイタリアンレストランで行われたと知りました。
「さすがに、みんな、どんな顔をしていいかわからなくて、ちょっと戸惑っていたよ」と、その2年前、私と元夫との披露宴にも来てくれていた夫の学生時代の友人が教えてくれました。

繰り返しになりますが、元夫とは本当に仲がよかったので、共通の友人も大勢いたのです。離婚後、私がいまの仕事を始め、再び同じ業界人になったせいで、元夫の近況は、しばらくの間、私の耳に入ってきたものです。