離婚後、共通の《人脈》は迷わずAと組むことを選んだ

私は離婚後、初めての一人暮らしをし、実家の親を安心させるため、雑誌やテレビに名前が出る仕事を選びました。もちろん自分自身に「惨めではない」と言い聞かせるためでもありました。でも惨めだったし、30歳目前で経験した初めての一人暮らしは本当に寂しく、毎日泣いていて、酒量も増えました。

もっとも堪えたのは、新卒で丸4年間務めたTBSラジオ954キャスタードライバー時代に培った《人脈》が、ないに等しいものになったことでした。私はキャスタードライバーを寿退社してからの2年間、専業主婦でした。一方、元夫は業界人として華やかな番組を担当していたこともあり、共通の《人脈》だったはずの歌手やタレントは、迷わずAと組むことを選びました。

いまなら、私のキャスタードライバー時代の仕事ぶりがプロとしてなっていなかったことや、勝手にこちらが《人脈》だと思っていた関係が吹けば飛ぶような希薄なものだったのだということが理解できます。でも当時は、「私の周りから誰も居なくなってしまった」と毎日、泣いてばかりいました。同時に、私からすべてを奪ったAとB子を恨みました。

放送作家として師匠の仕事に付いて行ったとき、久しぶりにある女性アイドルと再会しました。離婚とその理由をごく簡単に伝えたら、彼女は一言、「Aさん、サイテー！！」と周囲に聴こえるように言ったのです。嫌われたくないために我慢して離婚した私がずっと閉じ込めていた《感情》を彼女が代弁してくれたような気がして、違う種類の涙が出ました。