どうしてもレジ袋を捨てられない
そこで、「なら私が持って帰る」と申し出た。「もういいやん、やめておいて」。強めに抵抗されるも、「これ1枚いくらすると思う?」と引き下がらない。結局、テーマパーク帰りさながら大きな袋を両手に下げて帰路についた。
玄関でくたくたになって座り込んでいる私を見た娘は、「これ抱えて電車に乗ったの? 買ったほうがラクだったと思うよ」と呆れている。娘の言う通りかもしれない。ひどく疲れたし、電車や歩道で荷物が邪魔にならないように気遣うのが大変だった。
でも、この中には新品の手提げポリ袋が束でいくつも入っているのだ。捨てるなんてもってのほか。消費期限もなく、腐るものでもないのだから。
「しばらくレジ袋を買わずにすむわ」と喜ぶ私を横目に、娘は「全部買ったとしても、1000円になるかならないかだよ」と嘆息した。「そんなことないよ」と言い返そうとしたが、試しに計算すると1000円どころか数百円にもならないではないか。
「そうか、それだけのためにあんなに大変で恥ずかしい思いをしたのか」とつぶやきながら、「ケチでやってるんじゃないよ! 地球環境のためよ」と、どうにも苦しい言い訳をした。
引っ越しをすませた息子は無駄のない快適な生活を始めている。一方私は、「娘の言う通りだなあ。この大量のレジ袋をどこに置いておこうか」と悩み、相変わらず娘に冷ややかな目で見られている。
実際買ったほうが合理的なのかもしれないが、どうしてもレジ袋を捨てられない性分なのだ。