写真を拡大 オーストラリア・西オーストラリア州ミンガニュー(撮影=相原正明さん)
カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう? 
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第5回は「構図整理は大胆かつ繊細に」です。

構図は思いきって大胆かつ繊細にすべし

〔 撮り方 〕

9月の西オーストラリアの大地はワイルドフラワーの絨毯になる。花は小さく背の高さは10センチくらいだ。

だからフィルムカメラ時代は視点がどうしても上からになりがちだった。デジタルカメラのバリアングルモニターが登場して一気に自分が撮りたいローアングルが撮れるようになった。

この作品は、カメラを地面に置いて撮っている。レンズは単焦点の広角レンズで最短撮影距離が短いものを選んだ。

APS-Cサイズの深い被写界深度も利用して、目の前の花から地平線まで花が敷き詰められているイメージを狙った。ただ手前の花が風でぶれないように速いシャッター速度を選択している。

また、色彩を強烈な印象にするため、太陽が真上近くになる時間を選んだ。
まさにデジタル+バリアングルという技術革新が撮らせてくれた作品である。

『光と影の処方箋』(相原正明著/玄光社)