黒燕尾は男役の制服

そしてもう一つ、大好きだった黒燕尾。
黒燕尾のこだわりが出来始めたのはいつからだったのか。

大事なのは、燕尾と白ベストのバランスと全体的な比率です。
個人の体型によってもちろん変わりますが、 

上着丈は、股上の長さが強調されるようなら長めに直した方がいいし、
腰位置が高い人なら上着は短くした方がいいし。

いろんな衣装や、衣装部さんからのアドバイス、そして自分の写真や映像を見ながら
自分のベストなラインを見つけていきます。
私は自分を見るのは得意ではなかったので、映像は本当に必要な時だけ見る感じでした。
もっと早くに勇気をだして自分の姿を見つめていたら、もっと素敵に着こなせたのかもしれません。

あとは、人にアドバイスするようになってくると、
自分を客観的に見るように気をつけるので、そうすることによっていろいろと学んでいきました。

黒燕尾は男役の制服だと言われています。 
退団近くになってやっとそれがわかりました。
理由なく、黒燕尾を着ると落ち着いたり、 
退団公演では黒燕尾があったらいいなと思ったりしていました。
先輩達が残していった言葉の真髄が、学年が上がることで少しずつわかってきたように思います。

「黒燕尾を着こなせるようになってこそ本物の男役だ」と言われるくらい、
シンプルなだけにその着こなしは難しく、一人一人のこだわりと美学がそこにはあります。

星組礼真琴さんの素敵なお衣装。シャンテのステージ衣装コレクションより