カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう?
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第8回は「撮影前のストーリー作り」です
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第8回は「撮影前のストーリー作り」です
撮影前のストーリー作りが良い作品を生み出す
〔 撮り方 〕
夜明けの砂漠。朝日で真っ赤な砂漠がさらに赤く染まる。この絶好の色の時間はわずか2~3分。
砂漠といっても美しい砂丘はなく、アイコンになるような物も何一つない。
この広さを出すために近景となるものを探した。
ロケハンで見つけたのが枯れた低木。しかもちょうど砂丘の上にあり、砂に風紋も出ている。しかし、このような広い荒野ではどこも同じように見えてしまう。
特に夜明け前の暗い中では、ポイントを見つけられないことがある。そのため、テントからポイントまで空き缶を置いて辿れるようにした。
朝日が出ると、枯れ木と足元の風紋を引き立ててくれた。
露出は-2~+0.5EV まで0.5EV 刻みで撮影して砂の赤が出るようにした。枯れ木の反射と砂の色から判断して-1EV を作品としてセレクトした。