私たち人間は、成長して大人の体になれば、それ以上大きくなることはありません。しかし、魚や爬虫類は、成長が止まることはなく、死ぬまで体が大きくなり続けるとのことで――(写真提供:photoAC)
歳を取ることについて、どちらかというとマイナスなイメージを持っている方は多いのでは。しかし「老いることは、生物が進化の歴史の中で磨いてきた戦略である」と、静岡大学大学院農学研究科教授の稲垣先生は話します。人気エッセイストとして、著書も多数執筆している先生が、注目する生きものを取り上げながら、その「老い」について考えてきます。今回取り上げるのは、縁起が良いことの象徴である「池のヌシ」です。

人と違い、魚や爬虫類は死ぬまで体が大きくなる

全国各地には「池のヌシ」の伝説がある。

その池に古くから生き続ける生き物は、「池のヌシ」と呼ばれる存在となるのだ。それは巨大な魚であったり、巨大なヘビであったりする。

私たち人間を含む哺乳類は、成長期を過ぎて大人の体になれば、それ以上、成長することはない。しかし、魚や爬虫類は、成長が止まることはなく、死ぬまで体が大きくなり続ける。そのため、長く生きた個体は、巨大な体に成長するのである。

それが、「池のヌシ」である。