人の「ヌシ」はどんな存在なのだろう
その力で尊敬される存在にもなれば、疎まれたり、ただ恐れられる存在にもなる。それが「ヌシ」である。
私たち人間は、年を取って、池のヌシのように、体が巨大化することはない。しかし、長く生きていれば、さまざまな知識と経験を積んで、若い人が及ばないような力を持つことができる。若い人が未熟に見えるようにもなる。
ヌシは神にも怪物にもなる。
はたして、私たちは年老いて、どんなヌシになるのだろう?
参考文献◎伊藤龍平『ヌシ:神か妖怪か』(笠間書院、2021年)
※本稿は、『生き物が老いるということ――死と長寿の進化論』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
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どうして人間以外の生き物は若返ろうとしないのだろう?
イネにとって老いはまさに米を実らせる、もっとも輝きを持つステージである。人間はどうして実りに目をむけず、いつまでも青々としていようとするのか。実は老いは生物が進化の歴史の中で磨いてきた戦略なのだ。次世代へと命をつなぎながら、私たちの体は老いていくのである。人類はけっして強い生物ではないが、助け合い、そして年寄りの知恵を活かすことによって「長生き」を手に入れたのだ。老化という最強戦略の秘密に迫る。
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