(写真撮影:大河内禎)

息子は父に似ている

新團十郎、新之助の挨拶ではそれぞれの演目、役と意気込みを発表。
團十郎さんは​「2年半という時間があったことは準備期間をいただいたことでもあります。襲名したからといって魔法のように自分の中身が変わるわけではないが、父の襲名の苦労をそばで見ていたので、精進してお客様に変わったと思っていただけるようになりたい」とコメント。

「歌舞伎は舞台に出ている人数は少ないが、裏で多くの人が支えてくれている。この2年半、そういった方々や役者も、会社も、見てくださるお客様もそれぞれの同じ思いで時を過ごしたと思う」とコロナ禍の2年半を振り返った。

勸玄くんは、やりとりの中で思わず「やっぱ…」と言って父に「やはり、でしょ」と直されるほほえましい場面も。9歳で『毛抜』の粂寺弾正を演じるのは成田屋の歴史の中で最年少。勸玄くん自身が希望したそうで、2、3ヵ月前からけいこに励んでいる。

團十郎さんは「勸玄は、自分が演じているのを観て『毛抜』をやりたいと思ったそうで、本人の希望も聞き、会社とも相談して演目を決めました。もし(コロナでの延期がなく)2年半前ならできなかったこと。9歳で『毛抜』の男女の機微を表現するのは難しいと思うが、型がありますから、動きやセリフは稽古で作っていく。弾正はおおらかなところが必要な役。父・團十郎も得意だった。隔世遺伝といいますか、息子は祖父である團十郎に似ているので合っていると思う」と期待を込めて語った。