「お相撲さんは暑いの好きですよ」

どんな相撲でもいいから勝って欲しいカド番の大関・正代は、前頭2枚目・琴ノ若に3連敗しているせいか仕切りの時にソワソワしていて心配だった。案の定、良いところを見せられず押し出された。怒ったような子ども顔になると勝てる大関・貴景勝は、その顔になっているから大丈夫だと思ったが、実力をつけている前頭筆頭・霧馬山に寄り切られた。

土俵入りでの照ノ富士と幕内土俵入りでの貴景勝の二人の胸にテカテカと光る汗、そして「暑いなあ」という顔が気になった。新型コロナウイルスの感染予防のため、土俵に上がってから力水を口に含めないのは辛いだろう。口の中ですぐ溶けるような小さい氷を用意し、呼出がトングでつまんで渡すのはどうか、と真剣に考えてみた。

いやいや、条件は皆同じだから、氷をなめたからといって番付通りの相撲が見られるわけではない。

正面解説の北の富士さんが、「お相撲さんは暑いの好きですよ。はだかになっても無礼者と言われない」と話していた。そして、「引きが多いね。やたらに決まる。こんな相撲なら満員にならないよ」とも言っていた。コロナ禍により観客の人数を制限していたが、今場所は2年半ぶりに制限なしの上限約7700人となった。6月には出稽古も許可された。なのにこの波乱。