〈7月15日発売の『婦人公論』8月号から記事を先出し!〉
コロナ禍で長らく会えていない友だちや、贈り物を送ってくれた知人に、「絵手紙」を送りませんか。誰でも簡単に描けて、気持ちが伝わる方法としておすすめです。前編はコツと揃えたい道具の紹介から(構成◎島田ゆかり 撮影◎本社・中島正晶)

相手を思いながらモチーフや言葉を選ぶ

今は、携帯電話から簡単にメッセージが送れる便利な時代になりました。けれど、ハガキで思いを届ける「絵手紙」には、メールなどでは決して味わえない温もりがあります。

絵手紙とは、ハガキに墨で絵を描き、絵の具で色付けをし、添え書きをしたもの。

書家で夫の小池邦夫が考案し、私自身も36年前から始めて、講師としてこれまで多くの方にその楽しさを伝えてきました。体験された方はみなさん、「自分にも描けた!」という達成感を得るとともに、今も折に触れ家族や友人に送り続けていらっしゃいます。

「絵がヘタだから……」とためらわれる方もいるかもしれませんが、そんな心配は無用です。絵手紙のモットーは、「ヘタでいい、ヘタがいい」。上手に描くことが目的ではなく、自分らしく心を込めて描くことが大事なのです。

むしろ、線がゆがんでいたり色がはみ出していたりするほうが味わいが出て、クスッと笑える素敵な作品に仕上がります。

また、絵手紙は「相手を決めてから描く」のも特徴です。絵だけ何枚も描いておき、誰かに出すというものではありません。ですから、モチーフ(絵)も添える言葉も、送る相手ありき。

たとえば、一緒にショートケーキを食べた思い出を、後日いちごの絵を描いて「おいしかったね」という一言を添えて送ってみる。メロンを贈っていただいたら、それを絵にして「大好物をありがとう」と添えてもいいでしょう。

入院中の方へお見舞いに生花を贈りづらい昨今、鮮やかな花を描いて送るのも一案。「一緒に見たいね」といった言葉を添えれば、受け取った側の気分もきっと明るくなるはずです。

絵手紙はハガキという小さな世界で完成するため、慣れてきたら10分程度で描けるようになります。「今日は誰に出そうかな」と、気軽に描いてみましょう。