ダメでもいいから世の中に交ざりたいと

それである日、新聞を買って朝見ていたら、下のほうに戦後三大劇団が研究生を募集するらしいと出ていたんです。

文学座、俳優座、民藝っていうのが三大劇団だったから、どこでもいいから何か受けようと、ダメでもいいから世の中に交ざりたいと、置いていかれちゃった感があったんで受けてみた。

だから役者をやるなんて、まして今、五十何年もやってるなんてねえ。

30代前半の樹木さん。当時は「悠木千帆」の芸名で活動していた(写真:『婦人公論』1975年11月号より)

普通は、みんなそういうところへ行くと、上昇志向がすごいから、「いい役がほしい」って思うんだけど、私は役がつかないことにぜんぜん寂しさがなかった。最初は役なんてつかないんだから。

ただもう、みんなと同じことをやるっていうことで気持ちがすっきりして、そういうところにいたんです。