リレーメンバーは絶対に負けたくない相手ばかり

そして3つめのターニングポイントはリオ五輪のリレー。日本人が短距離でメダルを狙うのは無理と長らく言われてきたけど、リレーで銀メダルを獲得することで、その固定観念を払拭し、陸上への注目度が一挙に高まった。ある調査機関が今年、小学生の「大人になったらなりたいもの」を調査したところ、サッカー選手や医師、大工さんに交じって、なんと7位に陸上選手が。これはたぶん、リオ五輪が大きな起爆剤になったのだと思いますね。子どもたちに憧れられるのは何より嬉しい。

リオのリレーメンバーだった山縣亮太選手、飯塚翔太選手、ケンブリッジ飛鳥選手だけでなく、日本の短距離走は選手層が厚い。それがお互いにプラスに作用しています。リレーでは阿吽(あうん)の呼吸を求められつつ、100mでは絶対に負けたくない相手ばかり。だから苦しい練習も手を抜けないし、すぐそばにライバルの息遣いを感じられるというのは、何よりのモチベーションになる。その中で僕はダントツの一番でありたいですけど。(笑)