リレーメンバーは絶対に負けたくない相手ばかり
そして3つめのターニングポイントはリオ五輪のリレー。日本人が短距離でメダルを狙うのは無理と長らく言われてきたけど、リレーで銀メダルを獲得することで、その固定観念を払拭し、陸上への注目度が一挙に高まった。ある調査機関が今年、小学生の「大人になったらなりたいもの」を調査したところ、サッカー選手や医師、大工さんに交じって、なんと7位に陸上選手が。これはたぶん、リオ五輪が大きな起爆剤になったのだと思いますね。子どもたちに憧れられるのは何より嬉しい。
リオのリレーメンバーだった山縣亮太選手、飯塚翔太選手、ケンブリッジ飛鳥選手だけでなく、日本の短距離走は選手層が厚い。それがお互いにプラスに作用しています。リレーでは阿吽(あうん)の呼吸を求められつつ、100mでは絶対に負けたくない相手ばかり。だから苦しい練習も手を抜けないし、すぐそばにライバルの息遣いを感じられるというのは、何よりのモチベーションになる。その中で僕はダントツの一番でありたいですけど。(笑)
五輪出場資格、枠は3人
五輪の花といわれる陸上男子100m。東京大会の決勝戦のチケット価格は破格の13万円。史上初の日本人選手のメダルが期待されるからだ。
五輪出場枠は各国最大3人まで。現在、日本には10秒08以内の自己ベストを持つ選手が7人。9秒97のサニブラウン・ハキーム、9秒98の桐生と小池祐貴、10秒00の山縣亮太、10秒07の多田修平、10秒08のケンブリッジ飛鳥と飯塚翔太。出場条件として、2019年5月1日から2020年6月29日の間に参加標準記録10秒05を上回らなければならないが、2019年7月現在でクリアしているのは、サニブラウンと桐生、小池の3人。