病弱な少女時代が「孤独」を好むきっかけに
そもそも私が、「群れず、媚びず、馴れあわない」と、孤独を好むようになったのは、子どもの頃に体が弱かったことが原因です。小学生のときに結核を患い、2年生と3年生の2年間はほとんど学校に行っていません。同世代の友人はひとりもおらず、家でひとりきり。本を読んだり、画家志望だった父の画集を眺めたり。部屋の隅に巣を張っている蜘蛛だけが、私と遊んでくれる唯一の友だちでした。
学校に通えるようになってからも、運動はしてはいけないと言われていたので、体育はいつも見学。休み時間も、みんなが校庭でワイワイ遊んでいるのを教室の窓から眺めて過ごしていたので、人とつながることの大切さよりも、ひとりでいることの愉しさを先に覚えてしまったのでしょう。そのせいか、通信簿にはいつも「協調性がない」と書かれていました。
もうひとつの理由は、職業軍人だった父の仕事の関係で転勤が多かったこと。2、3年おきに転々と、転校を繰り返していたので、たまに気の合う友だちができてもすぐに別れが待っている。それが子ども心にもつらかったから、最初から誰とも仲良くならないように、自分を抑えていたところもありました。
アナウンサーとして入局したNHK時代も、ひとりが好きでした。同僚たちはみんなでおしゃべりしたり、食事に行ったりしていましたが、誘われても、私は滅多に参加しませんでした。休憩時間は、空いているスタジオを探して、ひとりで本を読んでいた。9年間在籍していましたが、ずっと《変わり者》だと思われていたかもしれません。