応援してくれた親に感謝する日々

天童 ショーのお客様には?

小柳 母のことは一切言わなかった。翌日の朝イチで福岡に飛んで、新聞の朝刊には記事が出てしまったのだけれど。私は宝塚を首席で卒業しましたが、母は心配で泣いたこともあったと思うんです。芸能界はきらびやかなだけの場所じゃない。苦労して悲しんで、私がのたうち回る姿も母は見ている。

子どもの頃、母に「もう習いごとをやめたい」って弱音を吐くと、「じゃあやめれば?」と言うの。そうなるとこちらは「やめない!」となるじゃない(笑)? 母の知恵よね。偉大なるプロデューサーですよ。

天童 うちもそうです。母には何でも話せて、ケンカもして、私が「もう出て行ってやる!」と叫んだことも、何度もありました。そのたびに「出て行くってあんた、どこ行くの?」「うーん、一晩寝てから考える」って、結局出て行かないんです。(笑)

小柳 アハハ、かわいい。(笑)

天童 そんな母も、足を2度ケガして車いす生活に。最初は介護の人に来てもらっていたんですが、母も娘のほうが気楽みたいなので、今は私一人でお世話をしています。

介護の資格を取って母の世話をしたい、と思ったこともありましたが、母に言ったら「やめてください」と。「歌に専念してもらうのが母ちゃんの夢だったのに、こんなことになって申し訳ない」って、そればっかりなんです。

小柳 わかるわ……。

天童 とはいえ私がやっているのは、母がお風呂に入るのを手伝ったり、夜中に一緒に起きてトイレに連れて行くくらい。もっと大変になったら介護の人をお願いするかもしれませんが、今はまだそういうレベルではないので全然平気です。

小柳 よしみちゃんがステージで輝いていることが、何よりの薬なんでしょうね。

天童 喜怒哀楽の感情は、だんだん乏しくなってきていますけどね。なので対策として、ちっちゃなカラオケを買ってあげたんです。ボタンを押せば歌えるものを。あとはNetflix。『宮廷女官チャングムの誓い』『トンイ』『イ・サン』など、何十話もある歴史ドラマを延々と観ています。韓国ドラマのイケメンを観ると少し気持ちがアガるみたいで、Netflix様々です。(笑)