――揺るぎない確信があるわけですね。

濵砂 そうですね、成功する、しないの問題ではなくて、「そこまで行かなくちゃいけない」という使命感がある感じですね。

地域を支える「柚子の新商品」がで完成し、神様に報告しているところ

 

――この土地と御社と言えば、神楽、神事、そして銀鏡神社というイメージがあるのですが、その関係性をお聞かせいただけますでしょうか。

濵砂 銀鏡神社は、この土地の産土神を祀る神社です。つまりこの地に生まれ落ちた私たちは、全て銀鏡神社の氏子です。

銀鏡神楽はその神様に奉納するための舞であり、祭事を主宰する神職とは別に、祝子(ほうり)といって舞を代々継承する家や、志願者によって引き継がれてきました。文献で確認できるのは500年程ですが、歴史はもっと古いといわれていますね。

我が家は宮人家ということもあり、古くから銀鏡神社を支え神楽の継承者としても一役を担ってきました。後々に苦渋の決断、神職の道を選んだのも、この由縁です。

現在銀鏡神社の神職をさせてもらっていますけど、実は神職にだけは絶対なるまいと思っていました。祝子として神楽を継承しつつ、神職としても、生涯神社に仕える。
これ以上やることを増やすなんてありえないと思っていました。

ただ、銀鏡神社の宮司が幼馴染で、前々から病弱な彼を助けたいという気持ちはありました。それに加えて、この地域の重鎮たちからも将来神職になってくれないか、というお話を頻繁に頂くことになりまして。

それでもYesというつもりはなかったのですが、一方で今までお話をしたような、地域のこと学校のこと神楽のこと宮司のこと家柄のこと、全部を総合していくと、神職にならない理由もなかったですね。