で、無理にやらされるくらいなら、自分からやると言ったほうが良いと、50歳の時に手を挙げて、「神職になります」と、周りに伝えた時は家族含めみんなびっくりしてましたけどね。

倒産寸前の会社に入るときも誰1人賛成する人はいなくて、自分で手を挙げて、家に入りますって言ったんですが、その時と似てますよね。
その後、神職になるため、足掛け2年、約2ヵ月の講習と試験を終え、次に神社庁指定の神社でさらに数ヵ月にわたり実務研修を受けました。

ところが、晴れて神職としての資格を得て、宮司の手伝いを始めた矢先のことです。先ほど話した幼馴染の宮司が台風の時に、事故で亡くなってしまったのです。500年以上続いた銀鏡神社の宮司家が途絶えてしまった。
一難去ってまた一難、頭が真っ白になりましたね。

その後、何度も親族の話し合いが行われ、最終的には私へ後継依頼がきました。後から知ったのですが、私は宮司家の末裔にあたっていたそうで、しかも神職であるのが決め手とのこと。結果、将来宮司を拝命、社家を引き継ぐこととなりました。
私にとって神社とか神楽はもう、切り離せないんでしょうね。
 

柚子の仕事で神楽とか神社をモチーフにしたロゴを作ったりとか、普通の人から見たら不謹慎に思うかもしれないんですけど。
自分の中ではしっかりやってるつもりだし、神社のことを片時も忘れることなく、残していきたいという思いでやってるので、それなりにいろんな、同じ神職の方とか地域の方も理解を示してくれてるので、ありがたいですよね。

*奉納される柚子の商品。濵砂さん(右)と、インタビュアーの安井さん(左)

(後編へ続く