ポテトチップスの美味しさは音で決まる!?(写真提供:photoAC)

ポテトチップスと咀嚼音の関係

音を加工したときに何が起きただろうか。まず、音量や周波数が上げられた咀嚼音を聞いたときには、ポテトチップスは新鮮でパリパリしておいしいと評価された。これに対し、音量や周波数を下げた場合には、しなびていておいしくないと評価された。賞味期限が切れているか開封後時間がたったものだと思った実験参加者は全体の4分の3もいたという。

しかし、参加者が食べたポテトチップスはすべてその場で開封したものだった。音量と周波数を上げた咀嚼音を聞いた場合でも、それらを下げた咀嚼音を聞いた場合でも、新しいポテトチップスが食べられていたのである。この実験が示しているのは、聴覚で感じられた音によって触覚で感じられる食感に錯覚が起きるということだ。

この実験と前述の多感覚知覚の話を合わせると、聴覚と触覚は口に入れた食べ物の食感に関して情報調整を行っているということになる。食感は多感覚的に知覚されているのである。

そして、食感は普段感じられる味の重要な要素の一つとなっていた。そうであるなら、私たちが普段感じている味には聴覚が得た情報も含まれているということになる。味は耳でも感じられているのだ。