冬将軍さんいわく「ヴィジュアル系という言葉は定着化した一方で、ミュージシャン側から侮蔑的な意味を見出されるようにもなった。それを象徴するのが『ポップジャム事件』」とのことでーー(写真提供:Photo AC)
90年代に入った頃から、バンドやミュージシャンの様式を指す言葉として広まったと言われる『ヴィジュアル系』。90年代後半にLUNA SEA、GLAY、SHAZNAらが人気を博したことで、より一般化したとされます。一方「日本のロックシーンはヴィジュアル系を軸に発展してきたと言っても大袈裟ではない」と話すのが音楽ライターで音楽制作ディレクターを務める冬将軍さんです。冬将軍さんいわく「ヴィジュアル系という言葉は定着化した一方で、ミュージシャン側から侮蔑的な意味を見出されるようにもなった。それを象徴するのが『ポップジャム事件』」とのことで――。

『ポップジャム事件』とは

ヴィジュアル系呼称問題で、何かと話題になるのがL’Arc〜en〜Ciel(以下、ラルク)の“ポップジャム事件”だ。

NHKの音楽番組『ポップジャム』1999年5月1日放送分の収録時のこと。司会の爆笑問題・太田光がラルクのことを“ヴィジュアル系”と呼んだことに対し、ベースのtetsu(現・tetsuya)が怒り、収録途中にもかかわらず帰ってしまったという事件である。

「tetsu が太田にキレて帰った」という誤解もあるようだが、太田は「俺たちにはむしろ『すみません』って。本当に真摯な態度で、『申し訳ありません』って帰って行った」と、自身のラジオ番組で一部始終を語っている。

事件より20 年経った2019年2月5日に放送された『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)でのことである。