コロナ禍で離婚が増えたという「夫婦」。そのありかたについてマリさんがあらためて考えを巡らせてみるとーー(写真提供:photoAC)
「旅する漫画家」として世界を駆けてきたヤマザキマリさん。コロナ禍ではイタリアにいる家族と離れ、日本に長期滞在することになりました。しかしマリさんいわく、思いがけなく移動の自由を奪われた毎日の中でむしろ考える機会が増え、多くの気づきや発見もあったそうです。たとえばコロナ禍で離婚が増えたという「夫婦」のありかたについてあらためて考えを巡らせてみると――。

なぜコロナ禍で離婚が増えたのか

コロナ禍の離婚が増えていると聞きました。

たしかに、生活のリズムが変わり、たちどまったことで自分のなかや周囲の環境の歪みに気がつけた、ということは大いにあると思います。コロナ以前なら、毎日別々の場所に仕事に出かけて帰りも遅ければ、夫婦でも時々会うだけでしょうから問題をやり過ごすことができていたかもしれません。

しかし、リモートワークや外出の自粛などで一緒にいる時間が増えたことで、「私、やっぱりこの人ダメかも……」という自覚が芽生えてしまった。

イタリアやアメリカの友人周りでもそんな唐突な動機でパートナーと離別してしまった人がいると聞きました。こうした離婚率の上昇はどうやら世界的な傾向と言えるようです。

新型コロナウイルスはこれまで誤魔化していた問題を表面化させる側面がありますが、家族や夫婦の在り方も例外ではないようです。