リハビリのモチベーションは…
退院して2日後、初めてメンバーに会いました。脳梗塞を発症してから会えなかったメンバーですから、感動の対面のはずですが、実は3人がとても心配そうな表情をしていたんです。僕は普通に話しているつもりなのに、これまでよりもしゃべり方が遅かった、右足もまだ引きずっている、右手は自由に動かない、みんなびっくりしますよね。みんなの「大丈夫?」の問いかけに、自分はまだ大丈夫じゃないんだと改めて感じました。
でも嘆いていても仕方がない。東京に戻ってからは、作業療法士の方が組んでくれた自宅でのプログラムをこなし、週に一度の通院でそれを修正していくという日々が今でも続いています。痛くても、治りが遅くなるのはいやだから、なるべく痛み止めは使いたくない。毎日3キロから5キロは散歩をし、エアロバイク、筋トレ、ミラーボックスを使ったリハビリなども自主的に取り入れています。発症から10ヵ月が経ち、8割ぐらい戻ってきたという実感があります。
リハビリを続ける中でつくづく、LE VELVETSのメンバーでよかったと思いました。僕には「もう一度ステージに立つ、絶対にみなさんの前に出る」という目標があるから、リハビリもがんばれたんです。でも、明確な目標もなく、今日を生きる理由が見つからない人は、つらいリハビリなんてがんばれないですよね。療法士や看護師さんたちは、そういう患者さんを励まして、リハビリに対してやる気を出させることから始める。大変な仕事だとつくづく感じます…。
病気になって初めて、病院というところには、お医者さまだけでなく、理学療法士、作業療法士、言語療法士などなど、たくさんの専門員の方が存在することを知りました。看護師さんの日々の仕事も本当にハードです。たくさんの方々のお世話で、僕は少しずつ本来の自分を取り戻すことができてきた。今でもリハビリは継続中ですが、ほんの1年前にはまったく知らなかった世界です。