(撮影◎本社 中島正晶)
メンバー4人全員が身長180㎝以上で音楽大学声楽科出身。恵まれたルックスと確かな歌唱力を備える「LE VELVETS(ル ヴェルヴェッツ)」をご存じだろうか。
クラシックをベースにロックやポップス、ジャズ、日本の民謡に至るまで様々なジャンルの歌を自在に表現。独自の世界を創り上げる一方で、メンバーそれぞれがコンサートやミュージカル出演など多岐にわたって活動。来年には結成15周年という節目の年を迎えるヴォーカルグループである。
そんな「LE VELVETS(ル ヴェルヴェッツ)」のメンバーの一人、テノールの佐賀龍彦さんが、2021年9月、40歳で思いがけず脳梗塞を発症。懸命のリハビリを続け、10ヵ月たったこの夏、活動を再開したという。
予期せぬ病に倒れながら復帰に至った佐賀さん。大病を経て気付いたこと、そして同じ病気で苦しむ方に伝えたいこととは―――。(構成◎吉田明美 撮影◎本社 中島正晶)

軽いカテーテル手術のつもりが…

数年前から時折、頭が割れるほど痛くなることに苦しんでいました。間隔が頻繁になってきて2019年に受診したところ、片頭痛という診断が出たのですが、それとは別に「脳動脈瘤がある」と言われました。開頭手術を勧められましたが、怖いし、傷が残ることにも抵抗があった。そしたら全国にはカテーテル手術をしてくれる病院があると知り、スケジュールの合間を縫って2021年9月に手術を受けることにしました。ところが、1週間ぐらいの入院ですむような簡単な手術だと聞いていたのに、僕の脳の血管が細かったとかで、術中に他の血管が傷ついてしまい、脳梗塞を発症してしまったのです。

手術から2日後に目覚めたとき、なんか様子が違うなと…。右半身はまったく動かない。その後、説明を受けても事態をよく飲み込めていませんでした。
僕は右利きなので、食事もできないし、文字も書けない。もちろん歩けない。寝たきり生活が続いていたのに、当分はぼーっとして自分の体が動かないことを認識できていなかったように感じます。

ーー頭に傷が残ることを避けたことで選んだカテーテル手術だったが、まさか、脳梗塞につながる危険があるとは考えていなかった佐賀さん。コロナ禍ということもあり、一人でなじみのない土地に行って軽い気持ちで受けた手術だっただけに、思わぬ事態に当初は戸惑いしかなかったという。

3週間ほど経ってようやく「このまま一生動けない? それは困る」と思い始めました。まだ40歳。このまま車いすで過ごすには先が長すぎます。ようやく、理学療法士、作業療法士と言語療法士の方々が用意してくれたプログラムに目がいき、スイッチが入りました。

しかし、このリハビリがつらい。脳が指令を出さない筋肉を動かすのは、泣きたいほど痛いんです。でも、まったく動かなかった右半身が少しだけ動くとそれだけでとてもうれしい。ちょっと動くようになっただけで大喜びしていましたね。