嫌な記憶やストレスは新しい不安に備える「セーフティネット」

日常生活の中で、ふと、過去の嫌な記憶や恐怖体験を思い出すことは誰にでもあると思います。その度に、恥ずかしさとか怒りなど、感情が揺らいで不安に襲われます。

もう二度と、思い出さないように記憶から消すことはできないのか……そんなことを思う人もいるでしょう。でも、その過去の不安こそが、新しい不安に備えるセーフティネットになっているのです。

新しい恐怖や不安を、インプットすることを遠ざけるために、自分が過去に一度かかったストレスや嫌な記憶を時々思い返すというメカニズムです。

「その過去の不安こそが、新しい不安に備えるセーフティネットになっているのです」(写真提供:Photo AC)

先ほども書いたように、人間は“不安中毒”です。

常に不安を抱えていたい生き物なのですが、とはいえ、未知である新たな不安よりも、慣れている不安の方がいいと、潜在意識の中で嫌な記憶を引っ張り出して、ストレスをあえて与えているのです。

そうすれば、新しい不安がある現実に目を向けなくてもいいですから。

一度抱えたストレスや嫌な記憶というものは、なかなか消えることはありません。さらに何度も思い出しているということは、セーフティネット化しているかも? と思えば少しは気持ちが軽くなるかもしれません。