「盗んだでしょう」と言われても…
認知症の人は、覚えることが苦手でも感情は残っています。ケンカをしたり怒られたりしたことは忘れても、「この人は嫌だ」「この人は泥棒だ」という不快感が残るため、周囲の家族への「不信」につながってしまいます。
まずは、本人が強い不安を抱えていることを踏まえ、できるだけ心に余裕を持って対応してください。
いっしょに話をしながら探して、探し物が見つかったらいっしょに喜ぶなど共感するようにしましょう。大切な物ほど、「ここなら安心」と特別な場所にしまうので、ソファーやベッドのすきま、タンスや引き出しの奥など、滅多にしまわないようなところにも目を配って探してみてください。
※本稿は、「マンガでわかる!認知症の人が見ている世界」(著:川畑智、監修:遠藤英俊、マンガ:浅田アーサー/文響社)の一部を再編集したものです。
「マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界 」(著:川畑智 監修:遠藤英俊、マンガ:浅田アーサー/文響社)
日本の認知症の患者数は増加の一途を辿っており、数年後には「誰しも認知症の人と接する社会」が訪れます。認知症の人とのコミュニケーション法は、今や誰にも必要な知識です。しかし、「何度も同じことをいう」「家族の顔がわからなくなる」「財布を盗んだといわれる」「理由もなく歩きまわる」など、家庭介護の場面では、認知症の人の不可解な言動にイライラしたり、疲弊したりすることが少なくありません。本書は、認知症ケアの現場で数多くの認知症の人と接してきた著者の豊富な知見をもとに、不可解な行動の裏にある心理をマンガ形式で紹介。その言動の理由がわかれば、認知症の人が愛おしくなり、介護がらくになるのです。
『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界2』も好評発売中です!