思いがけないご褒美

車を見る度に、自分にはもう運転する資格がなくなったんだと思って悲しくなる。早まったかなあという後悔もジワジワ湧いてくる。これは、想定外の由々しき事態である。落ち込むに任せていては、何もやる気がおきなくなりそう。

『老いを楽しく手なずけよう――軽やかに生きる55のヒント』(著:吉永 みち子/中央公論新社)

本当に人間の気持ちは、年を重ねてもちょっとしたことで想像もつかない陥穽(かんせい)に落ち込んでしまうものなのだ。しかし、落ち込んだままにしていてはまずい。これは早々に立ち直らなければならない。

そこで懸命に返納して失ったものではなく得たものは何かと考えることにした。返納せずに運転を続けて、もし事故を起こして初めて自分の反射神経の衰えに気づくようなことになったら……きっとあの時返納しておけばと悔やむだろう。少なくとも取り返しようもない事態は避けられた。だから返納してよかったのだ。

まさにモノは考えようという世界だが、実際に何かいいことはないのか……あ、そうだ!

そういえば自主返納のサポートとかいう冊子のようなものをもらったのだった。もう関係ないとそこら辺に転がしてあったのを拾ってきて読んでみた。すると、東京都の場合なのだが、けっこう特典があるではないか。