信用を得るために必要なもの

筆者は先ほど、相手から信用されるためには、「この人間は嘘をつかない。裏切らない」と思ってもらえる必要がある、と述べました。

ただし、どんなに嘘をつかず、実直な人物だったとしても、言っていることが空論や抽象論であったら、信用は得られません。実直であることだけでは、信用を得るにはまだ不十分なのです。

織田信長に叛旗を翻した荒木村重につかまり、1年にわたって牢獄に入れられるも信長を裏切らなかった官兵衛(イラスト:『日本史を変えた偉人たちが教える 3秒で相手を動かす技術』より。(c)高栁浩太郎 *高ははしごだか)

信用を得るためには、実直であることに加えて、主張していることに説得力や納得感があることが求められます。

官兵衛は若いときから、調略や交渉の際には、詭弁(きべん)を用いずに、明確な論拠に基づいて天下の形勢を語り、「だから、こうしたほうが御家(おいえ)のためになる」と、正攻法で相手を説得するスタイルを取ってきました。これができたから、人々から信用されたのです。

※本稿は、『日本史を変えた偉人たちが教える 3秒で相手を動かす技術』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。


日本史を変えた偉人たちが教える 3秒で相手を動かす技術』(著:加来耕三/PHP研究所)

プレゼン、会議、商談など、相手を動かさなければならない場面は数多い。どうすれば、相手を自分が思うように動かせるのか? それを教えてくれるのが、歴史上の偉人たちだ。交渉の場面で、彼らがどのように勝利を得てきたのかを知れば、仕事力が格段に上がる!