子ども向けの地区大会で優勝した、幼少期のまりさん(左)となおみさん(右)(写真提供:環さん)

父への反抗心が人生の支えに

思えば私の人生は、ずっと夫に振り回されっぱなし(笑)。正直言って「もうイヤだ、別れよう」と思ったことは何百万回もあります。それでも別れなかったのは、ひとえに父への反抗心から。

家出同然で結婚した私を父は決して許さず、孫のまりやなおみには優しい言葉をかけても、私には「おまえみたいな娘は、アメリカでホームレスになって野垂れ死にせい」と何度も言ったものでした。

もし離婚して日本に戻ったら、「ほらみたことか」と父に言われる。それだけはイヤでした。私の人生は間違っていない、必ず父を見返してやるという気持ちがあったから、今日まで歯を食いしばって頑張れたんだと思う。

むしろ理解ある親から「マックスはいい人だ、ぜひ結婚しなさい」などと応援されていたら、きっと早々に離婚していたんじゃないかな。そうしたらまりやなおみはアメリカで活躍していなかったかもしれません。

いまは父と打ち解けて(笑)、日本に帰ったときには北海道の実家へも立ち寄ります。でも父の感情の起伏の激しさは、相変わらず。母はガンジーかマザー・テレサかというほど人間のできた人なので、「黒いカラスもお父さんが白と言うなら、白ということにしましょう」と言いながら、父を上手にあやします。

でも私は馬鹿正直に、「お父さん、それは常識としておかしい」などとすぐに口にしてしまう。いつも父を爆発させて……、まあある意味、私たちは似た者親子なのでしょう。

自分のすべきことは自分で決める、正しいと思ったことは貫く。そうした強さが娘たちに受け継がれているなら、それは親として嬉しいです。特になおみは、反対されると逆に燃える性格が私と似ているのかもしれない。(笑)