たとえば、情報収集が得意なら、介護サービスの利用手続きについて調べてもらう。人とのコミュニケーションや交渉が上手ならケアマネさんとの窓口になってもらう。家事が好きな人もいるでしょう。
私の姉も、最初は介護にまったく関わろうとしませんでした。けれど、私が母の楽しそうな笑顔の写真や、「今日はこんなことがあったよ」とポジティブなメッセージを送り続けるうちに、介護に対する怖さが減ったようで、今では私に代わってサポートをしてくれるまでになりました。
最初は意見が合わなかったり、協力が得られずに腹が立ったりしたとしても、少しずつ気持ちが変化してくることもあります。自分は無理をしない。相手にも強要しない。この考えが重要です。
もう一つ、最初から行政や相談窓口、介護保険のほか、保険外のサービスもフル活用しましょう。仕事を辞めたり、同居したりして一人で担う必要はありません。できる範囲でいいのです。
大切なのは、職場でも家でもない「第三の居場所」を作ること。趣味のサークルでもいいし、習い事でもいいと思います。私は介護で悩みの渦に巻き込まれている時に心理学を学ぶことで、その状態から抜け出せました。「自分にはほかにも居場所がある」という実感は、介護を続ける中でとても大切です。
最後に、親の立場からできることをお伝えしましょう。子どもに対して「自分の暮らしを犠牲にしなくていい」「同居は望まない」などと、折にふれ伝えておくこと。「介護は自分たちの貯めたお金の範囲で」という心構えも大事です。元気なうちに保険証券や通帳などをまとめておくとよいでしょう。
介護を必要とする人は今後どんどん増えていきます。きょうだいとのトラブルを回避するだけでなく、それぞれの生活を大切にしながら、親の介護に向き合えるようにしたいですね。