時間には限りがあることを知って
どんなときも、背中を押してくれたのは中村勘三郎さんと坂東三津五郎さんです。勘三郎さんはひとつ上で、三津五郎さんは学年は違いますが同い年。子どものころから一緒に遊び、同じ学校に通い、しょっちゅう三人で飲んでいたのに、相次いで亡くなってしまった。時間はいつまでもあるわけではないんだ、と身につまされる思いでした。
家内と僕が出会ったときも、お二人が一緒でした。僕が失恋して落ち込んでいたら、「じゃあパーティしてやるよ」って。まあいまでいう合コンですね。その中に家内がいた、という次第でして。
結婚して40年になりますが、いまも出かける際は玄関で「行ってきます」のハグをしてフランス流にビズ、つまり頬にキスをします。こんな話をするのはちょっと照れますが、若き日をヨーロッパで過ごして、家族間でもスキンシップは大切だと考えるようになったんです。昔は息子と娘にもビズをしていましたが、思春期以降は嫌がられるようになりました。(笑)
僕はスイスが大好きなので、以前は休みがとれると必ずスイスに行き、山を歩き、写真を撮っていましたが、コロナでこの3年間は行けていません。早くまたモルゲンロート(朝焼けの山)や星空や草花を撮りたいなあ。
ただ家内はスイスにはあまり一緒に行ってくれないんですよ。昔キャビンアテンダントをしていたので、海外はもう十分らしい。僕が撮った写真を無理やり見せてばかりいるので、飽きちゃったのかもしれません。