松任谷ご夫妻とのスリーショット

「いつか」がやってくるとは限らないから

2008年から始めたカバーライブ「ジュジュ苑」でも、毎回、必ずユーミンの曲を歌ってきたので、観に来てくれた方たちから「いつか、ユーミンだけをカバーしたアルバムを聴いてみたい」という声をいただくようになりました。
なによりも、私自身が、ユーミンの曲だけに特化したアルバムを作ってみたいという思いがあって。もし、いつかそんな日が来るとしたら、正隆さんとユーミンと一緒に作れたらいいなぁという寝言をずっと言い続けていたんですね(笑)。死ぬまでにやりたいことリストのひとつとして。

でも、今までの自分が、その「いつか」を信じることができたけど、ここ数年で自分や周りの人たちの身に起こったことを通じて、「いつか」が必ずあるとは限らないんだと気がついて。生きているうちに、「やりたいことリスト」の中に入っていることを、ひとつずつやっていかなきゃと思うようになったんです。
それで、ユーミンへの気持ちを手紙に書いて、お伝えしたんです。昔から、うちの祖母に「大切なことは、文にしたためて渡しなさい」と言われていたので、便箋に万年筆で自分の気持ちを一字一句手書きして出しました。

だからといって、私の夢物語がすんなりかなうとは限らない。ただ、この気持ちがあるということを、伝えられるうちにお伝えしたかった。その結果、たとえダメでも、自分の気持ちを伝えられたのだから、それでいいや、と…。
幸せなことに、その手紙のお返事いただく代わりに、「一緒に作りましょう」というミーティングに呼んでいただけた。それが今回のアルバムなんです。

自分さえ自分のことを諦めなければ、夢はいつか叶う。子どもの頃から、そう思っていたんですけど、今回のことでその思いがいっそう強くなりました。いくつになっても、夢があるなら、その夢を追い続けていればきっとかなう。そして、心の中にしまっておくだけでなく、口に出さなきゃ、夢は現実にならないのだということも、今回、身を持って感じました。