女房のせいで2度も監督をクビになるとはね。私の人生は彼女に翻弄されっぱなしでしたが、離婚したいと思ったことは一度もなかった。彼女の良さを熟知していたからでしょう。

優しいところもあったんです。町で赤ちゃんを見かけると、「可愛いわね、抱っこさせて」と寄って行ったりして。

華やかな雰囲気も、前へ前へと突き進むバイタリティーも◎。野球でいえばポジティブ思考で自己顕示欲の強いサッチーはピッチャー、ネガティブ思考で守りに強い私はキャッチャー。

要は「割れ鍋にとじ蓋」だったわけだけど、妻に花を持たせるというのが夫婦の理想的なありようだという気がします。

最後にサッチーの死に顔を見たとき、こんなに私の母と似ていたかな、とハッとした。考えてみれば、二人は勝ち気なところも腹が据わっているところもそっくりなんです。結局のところ、私は強い女が好きなんだね。

生まれ変わってもサッチーと結婚したいかって? 戒名は「惠光院愛絆咲沙大姉」といって、絆で結ばれてるからね。来世もめぐり合って結婚するでしょう。

あんな猛獣とうまくやっていけるのは自分だけだという自負もある。彼女は「冗談じゃないわよ」と言うかもしれないけど。(笑)