人に打ち明けられない不調や悩み。日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第14回は、「糖尿病」です。
(取材・文/松井宏夫〈医学ジャーナリスト〉)
この記事の目次
〈症状〉軽症糖尿病で症状なくとも大血管障害に要注意
〈原因〉遺伝的素因の影響が大きい。そこに日々の生活習慣が関与する 〈治療〉薬の選択肢は幅広く、担当医師とよく相談して 〈予防〉家族に糖尿病がいたら早めに検査・予防

〈症状〉軽症糖尿病で症状なくとも大血管障害に要注意

糖尿病には、自覚できる症状がありません。そのため、糖尿病と診断された時にはかなり進行した段階であることも多いのです。

放置して進行すると、3大合併症といわれる「糖尿病性末梢神経障害」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」を発症。これらは、細い血管が詰まったり切れたりして起こります。最悪の場合、足の感覚が鈍くなり、足先を怪我しても気付かなかったり、傷が治りにくくなったりするため、壊疽(えそ)などを起こしたり、未だに失明する方も。

また腎不全により人工透析が必要になる方もいます。それより多くの方にとって重大なのが、以後の仕事や命に直結する「脳梗塞」「狭心症・心筋梗塞」などの、大血管障害を起こすリスクです。

また糖尿病の方は発癌も約2割近く高くなるとされ、女性だと乳癌・子宮癌も要注意です。

写真を拡大 図:血糖値コントロール目標値

日本糖尿病学会編・著「糖尿病治療ガイド2022-2023」(文光堂、2022年)