朝の散歩の途中、公園のベンチで一休みしていると、「すみません」と遠慮がちに声をかけられて――(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは神奈川県の70代の女性からのお便り。朝の散歩の途中、公園で白髪の女性から頼まれたある事とは――。

ペットボトルのふた

朝の散歩の途中、公園のベンチで一休みしていると、「すみません」と遠慮がちな声。小柄な白髪の女性が立っていて、照れくさそうに「これ、開けていただけませんか」と小ぶりのお茶のペットボトルを差し出した。

「そこの自販機で買ったんですが、ふたが固くて開かないんです」とおっしゃる。

「私もよくあります。やってみます」と受け取って開けようとしたが、びくともしない。しっかり握り、えいっ! とばかり力をこめてもダメ。濡れているからかとハンカチでくるみ、えいえいっと繰り返してやっと開いた。

女性は恐縮し、「うちに帰っても一人なもので。本当に助かりました」と言い、すみませんを繰り返して去っていった。

じつは、私も何度も経験している。コンビニでドリンクを買ったものの、ふたが固すぎて、店に引き返して店員さんに開けてもらったことも。また毎朝、豆乳チャイを作って飲むのだが、豆乳パックのキャップも固い。

力をこめてもダメなときは、輪ゴムを巻いて開ける。しかも、こういうふただけではない。缶詰の引き上げ式のふたがパッカンと開いてくれず、缶切りに登場してもらうこともある。

指先の力の欠如は、独居の高齢女性(男性についてはわからない)にとっては、苦労の種の一つだ。「ちょっと、ふた、開けて」と頼める人がいない。もちろん、独居の不便さはこれに限ったことではないが……。ヨーガ講師の私、指先を鍛えるポーズは考案の価値アリかもしれない。


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