舞と祥子の出会い

舞と祥子は初対面だった。めぐみと舞の父・浩太(高橋克典)が14年前、祥子の反対を押し切って駆け落ちしたからである。

その後の祥子はずっと1人暮らし。めぐみと断絶していたことから、舞、その兄の悠人(横山裕、少年期・海老塚幸穏)とも会ってなかった。浩太から時折、家族の動向をハガキで知らされるだけだった。

第7話で舞は1人きりの祥子に対し「淋しないの?」と問い掛ける。これに祥子は「平気さぁ。島のみんなもおる」と明るく答えた。

祥子のもとでだんだん元気を取り戻す舞

嘘ではなかっただろう。だが、祥子の思いの全てだったかというと、それも違ったはず。この後、桑原さんは祥子の心の機微を行間で表し、さらに余白をつくることで観る側に想像させた。

第8話で祥子は舞に向かって「あっ、そやった。見せるものがあっとさ」と、声を弾ませる。そして自宅の押し入れから2枚のばらもん凧を出す。

この凧は五島の伝統。子供が生まれると、健やかに育つことを願って、父親や祖父たちが作る。ところが、祥子が出した凧は2枚とも未完成。悠人の分は絵を入れている途中で、舞のほうは骨組みだけだった。

「悠人と舞が生まれたと聞いた時に、じいちゃんの代わりに作ろうとしてさ、途中になっとった」(祥子)