きらきらしてるなぁ
翌日、浩太は舞を連れて、以前から約束していた生駒山の遊園地へ行く。それまでは日曜日も返上して仕事に取り組んでいたが、何か吹っ切れたような顔付きだった。
遊び終えた後、2人は生駒山の上から街を眺めた。
「舞、あっちが東大阪や」
「へぇ、きらきらしてるなぁ」
舞の言葉に浩太は心底、不思議そうな顔をした。
「そうかぁ…」
浩太は大企業を辞めて戻ってきたことを悔いていたこともあって、東大阪の街の見え方が違っていたのだろう。輝いては見えなかった。やや間があって、浩太はこうつぶやいた。
「まだ、あきらめるわけにはいかへんな」
東大阪に帰ってきたことを後悔してはならないと思ったのだろう。幼い子供たちのために奮起しなくてはならないとも考えたはずだ。
やはり一切の説明はなかった。その後、浩太は営業活動を再開。特殊な螺子の試作品を受注する。量産の依頼も受ける。