スキンケア化粧品開発者に聞いた、発酵成分を使いたくなる理由。《栄養の豊富さ》と《浸透のよさ》で可能性は未知数！

ファンケルの発酵液には約460もの成分が含まれている

山本　発酵の可能性は未知数で、解明されていない効果もあると聞いたことがあります。小鷹さんはいつから発酵の研究を？

小鷹　7年ほど前からです。発酵を学ぶために学会に参加した際、酒蔵の方が「甘酒には何百種もの成分が含まれている」というお話をしていて。医薬品や食品にどんな成分が含まれているか解析する「メタボロミクス」という最新の手法があることも知りました。そこで、美容業界でいち早くメタボロミクスを使い、ファンケルの発酵液を解析。すると約460もの成分が検出されたのです。

山本　発酵によって多種多様な成分が生まれていたんですね。どんな発酵でも、同じような結果になるのでしょうか。

どんな発酵でも同じ結果になるのですか？と質問する山本浩未さん（撮影：天日恵美子）

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小鷹　いいえ。酵母の発酵には餌となる糖が必要です。酵母の特性も一つ一つ違いますし、餌も異なりますから、掛け合わせが違えば、そこから生まれる成分も効果もまったく違うものに。発酵を続けていくプロセスで成分がどんどん変化していくのも特徴です。

山本　味噌などのように時間をかけるほどよいというわけではなく、どこで発酵を止めるかもポイントになりますね。

小鷹　その通りです。どんな効果を求めるか。その効果を最大限に発揮するピークを見極めて、微生物の活動を止めることが重要です。

山本　読者のみなさんが聞いたことのある成分でいえば、美白の「コウジ酸」。これも発酵から生まれたものですよね？

小鷹　はい。コウジ酸は、日本酒などの醸造に使われる麹菌の発酵過程で生み出される発酵代謝物質です。1988年に医薬部外品の美白有効成分として承認されています。